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三門優祐のつれづれ社畜読書日記(悪化)

社畜読書日録20170607

祖母の葬式明けで忌引き扱いだが、社畜根性を発揮し午後の打ち合わせだけ出る。「一時間で終わる」はずが二時間半になるのはもはや様式美。長引いたというより当初の目算が甘すぎるのであった。
帰りに紀伊國屋に寄って新刊確保。

ボストン・テラン『その犬の歩むところ』(文春文庫)\886
スミス・ヘンダースン『われらの独立を記念し』(ハヤカワ・ミステリ)\2,484

 

で、ボストン・テラン『その犬の歩むところ』(文春文庫)を読了。

事故が、犯罪が、天災が、戦争が、憎しみが、理不尽な苦しみが愛を蝕む。そんな時、人間に寄り添って生きる一頭の犬がいた。ギヴ。彼が共に歩んだ、あるいはひと時道を同じくした人々のエピソードを、ある若者が受け継ぎ、語り継いでいく。これは犬の、そしてアメリカに生きる人々の物語。

とても繊細な、それでいて感動的な物語である。家族だ愛だとクサいことばかり言うんじゃねえ、という人もいるかもしれないが、ボストン・テランがそうでなかったことがあるだろうか。いやない。出てよかった、読んでよかった作品だが、個人的にはパンク兄弟の兄貴に救いがなさ過ぎて悲しい。悔恨の涙の一滴でも流させてやればいいのに。いや、そういう人格でもないか。

その犬の歩むところ (文春文庫)

その犬の歩むところ (文春文庫)