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三門優祐のつれづれ社畜読書日記(悪化)

Re-ClaM 第4号 を予定通り刊行します

昨今のコロナ禍の影響で、GWのコミケや文フリがキャンセルになってしまいましたが、Re-ClaMは予定通り新刊の第4号を刊行いたします。
今回はイベント頒布はなしで、書肆盛林堂での通販が初出です。
通販開始は4/25(土)17:00予定。販売価格は1,200円(+送料)
前回、前々回の瞬殺具合(わずか2時間ほどで通販完売)を鑑み、刷り部数は多めに設定しておりますが、購入を検討している場合はお早めに。

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Re-ClaM 第4号の目次は以下の通りです。

【特集】F・W・クロフツの"Humdrum" な冒険
[レビュー]F・W・クロフツ全長編解題
F・W・クロフツ長編リスト
[特別寄稿]『樽』のミスを確認する(真田啓介)
[特別寄稿]短篇集『殺人者はへまをする』をじっくりと読む(小山正)
[論考]英米から見たF・W・クロフツ(三門優祐)
[翻訳]F・W・クロフツ「暗い川面」(倉田徹 訳)
[翻訳]F・W・クロフツ「指紋の罠」(三門優祐 訳)
◆連載&寄稿
Queen’s Quorum Quest(第39回)(林克郎)
A Letter from M.K.(第3回)(M.K.)
海外ミステリ最新事情(第5回)(小林晋) 
『ギャルトン事件』を読む(第1回)(若島正
[翻訳]アルジャナン・ブラックウッド「鍵をかけろ」(渦巻栗 訳)
[翻訳]エドワード・D・ホック「ゴーストタウン」(宇佐見崇之 訳)
[レビュー]「原書レビューコーナー」(小林晋)
[ニュース]真田啓介ミステリ論集 刊行に当たって(荒蝦夷 土方正志)

 

特集では、今年(2020年)がデビュー作『樽』(1920)刊行100周年となるF・W・クロフツを取り上げました。同じく100周年である作家にはクリスティーとH・C・ベイリーがいますが、後者はぜひどこかで取り上げたいものですね(未定)。クロフツは日本では全長編が翻訳されており、また年に一度の創元推理文庫復刊フェアに毎回のように取り上げられていますが、その割に『樽』『クロイドン発12時30分』止まりという人が多いような気がします。今回収録した全長編レビューや、真田啓介氏小山正氏のコラムから、いわゆる代表作以外にも手を伸ばす人が少しでも増えれば、と考えています。翻訳短編のうち「暗い川面」は本邦初訳、「指紋の罠」は60年ぶりの新訳となります。クロフツには他にも未収録・未紹介短編がいくつか存在するらしいので、今後機会があれば紹介したいところです。
連載は林克郎氏MK氏小林晋氏と安定感のある布陣になりました。また今回の目玉は若島正連載「『ギャルトン事件』を読む」。以前ミステリマガジン 2018年8月号 で書かれたロス・マクドナルド『ギャルトン事件』を読む」を増補改稿したものになるそうですが、最終枚数は先生にも分からないっぽいです……とりあえず第一回は50枚になりました。内容は、ロス・マクドナルドの作風のターニングポイントになった傑作『ギャルトン事件』を読むためのツールを用意するために、まず後期の傑作『一瞬の敵』を読んでみようというもの。ロス・マクドナルドの一見過剰に思える「比喩」から引き出される「イメジャリー」、それらをつなぎ合わせることで浮かび上がる全体の「構造」。これまでの「ハードボイルド/パズラー」の二元論に縛られない、新たなロスマク論の始まりをぜひご堪能ください(本編を読む前には必ず『一瞬の敵』を一読、ないし再読することをおすすめします)。他、英国正調怪談の名手ブラックウッドのラジオ怪談、また言わずと知れた短編の名手、エドワード・D・ホックの初期作品など注目の内容を多く取り揃え、全160ページとなっています。

どうぞよろしくお願いいたします。