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三門優祐のつれづれ社畜読書日記(悪化)

CWA各ダガー賞のロングリストが発表されました

昨日、CWA(英国推理作家協会)の各種ダガーの第一次候補作が発表されました(ゴールドダガー15作、他10作)。第二次候補作(各ダガー5作)に絞り込まれるのは夏、受賞作の発表は10月ですが、現時点での注目作をいくつかご紹介します。

 

CWA Gold Dagger 2019(最優秀長編賞)

レイ・セレスティン The Mobster's Lament (Pan Macmillan, Mantle)

The Mobster's Lament (City Blues Quartet Book 3) (English Edition)

The Mobster's Lament (City Blues Quartet Book 3) (English Edition)

 

『アックスマンのジャズ』の作者の人です。第二作はとっくの昔に出ていて、第三作が候補に。ちなみにヒストリカルダガーの候補にも挙がっています。早川書房さん、よろしくお願いしますね?(ニッコリ)

デレク・B・ミラー American by Day (Transworld, Doubleday)

American By Day (English Edition)

American By Day (English Edition)

 

『砂漠の空から冷凍チキン』があまりに変則的な戦争/友情小説だったせいで評価されなかったデレク・B・ミラーですが、新作は警察小説らしいです。あと表紙がエドワード・ホッパーなのが嬉しい。

アビール・ムカジー Smoke and Ashes (Harvill Secker)

Smoke and Ashes (Sam Wyndham Book 3) (English Edition)

Smoke and Ashes (Sam Wyndham Book 3) (English Edition)

 

1920年頃のカルカッタを舞台にした、インド歴史ミステリシリーズの第三作だそうです。「なかなか興味深い内容だが翻訳は厳しいかな~」と思っていたのですが、早川書房から同作者の本が7月に刊行されるようです(カルカッタの殺人』)。

 

CWA Ian Fleming Steel Dagger 2019

ティーヴ・キャヴァナー Thirteen (Orion, Orion Fiction)

Thirteen: The serial killer isn’t on trial. He’s on the jury (English Edition)

Thirteen: The serial killer isn’t on trial. He’s on the jury (English Edition)

 

『弁護士の血』の作者の人です。キャヴァナーは昨年 The Liar という作品でCWAのゴールドダガーを受賞していますが、別に二年連続で受賞してもいいんだぞ!(別の賞だしね) というかなんで前作は翻訳されないんですかね?

Elly Griffiths The Stranger Diaries (Quercus Fiction)

The Stranger Diaries

The Stranger Diaries

 

本邦未紹介ですが、イギリスの識者の間では「黄金時代風のクラシカルな謎解き物」の継承者としてエドワーズらと並んで語られる作家です。「ケイト・モートン『湖畔荘』の読者にオススメ」とamazonのレビューでも書かれているので、日本人読者にも受けそうな気はします。

ニクラス・ナット・オ・ダーグ The Wolf and the Watchman (John Murray)

The Wolf and the Watchman: The latest Scandi sensation

The Wolf and the Watchman: The latest Scandi sensation

 

1793年のスウェーデン宮廷で起こった事件を描く歴史ミステリ。薔薇の名前とも比較される衒学性とノワール要素を兼ね備えた作品とのことですが、これが37歳(当時)の第一作とは驚きです。

(追記:見落としていましたが、来月『1793』というタイトルで小学館から刊行されるようです。 https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784093567190

 

CWA International Dagger 2019

東野圭吾『新参者』(Little Brown)

Newcomer (Kyoichiro Kaga 2)

Newcomer (Kyoichiro Kaga 2)

 

今年は頑張ってほしいですねえ。

Cay Rademacher Forger (Arcadia Books)

The Forger (Inspector Stave Book 3) (English Edition)

The Forger (Inspector Stave Book 3) (English Edition)

 

1940年代末、イギリス占領下のハンブルグを舞台にしたノワール気味な警察小説とのこと。三部作の第三作とのことなので、できれば第一作から読みたいところです。

 

CWA Sapere Historical Dagger 2019

マーティン・エドワーズ Gallows Court (Head of Zeus)

Gallows Court (English Edition)

Gallows Court (English Edition)

 

以前紹介しましたのでこちらをご覧ください。頼む!翻訳してくれ!

ジム・ケリー The Mathematical Bridge (Allison & Busby)

The Mathematical Bridge (Nighthawk Book 2) (English Edition)

The Mathematical Bridge (Nighthawk Book 2) (English Edition)

 

ジム・ケリーの第三シリーズの第二作です。第二次世界大戦開戦直後のオックスフォードを舞台にした警察小説のようですが、法権力には従わない、しかし「正義の徒」が活躍する話でもあるらしく……翻訳されそうもないし、自分で読むか!

 

短編はそのうち全作読んで紹介します。