ハヤカワノヴェルズ未文庫化作品を掘削する①(準備編)
前からボチボチ作っていた「ハヤカワノヴェルズ」全リストが完成した。と言っても、「翻訳作品集成」のページの抜け情報をwikipedia他で補填しただけで、実際の本に全て当たったとかそこまで気合の入ったものではない。完全に自分用リストである。
それによると、「ハヤカワノヴェルズ」のシリーズ名が入った本はおおまかに1028冊、そのうち何らかの形で文庫化されているのは503冊あることが分かった。つまり約半数が文庫化されることなく書店から姿を消したことになる。まあ、文庫化されていても今は読めない本が山ほどあるのだが。
この約500冊の中には映画のノヴェライズや原作が多数含まれている。また、当時英米で流行ったらしい本も多い(割合は低いがフランス作家のものもかなりみられる)。向こうではその後も何冊も本を出したけど日本では一、二冊止まりだった作家、また本当に一発屋で終わった作家も少なくない。
今では想像することしかできないが、こういった翻訳娯楽単行本が月に三冊も四冊も出ていた時代があった。そのほとんどが時代に取り残されて風化していったのだが、もしかしたら残された貝塚にキラリと輝くものが残ってはいやしないか。誰か当時から読んでいた人が「これは今でも鑑賞に堪える隠れ良作ですよ」と教えてくれやしないか……ともう五年ほど待っていたが、ポツポツ漏れ聞こえるのはあっても塊では出てこない(当然)。
じゃあ、ちょっと自分で読んでみようかと当面の目標として作ったリストが以下だ。☆は確度の高い情報があり期待できる本だが、あとは英語のwikipediaでの紹介が面白そうだったとか、タイトルがかっこいいとかそんな適当な理由で選んだ。読んだ結果については、このブログで報告するかもしれない。飽きなければ。あ、もしこの記事を読んだ人の中で「このリストのこれは面白いで!」や「この本も読んだ方がいいで!」のような知見をお持ちの方がいらっしゃれば、ばんばんコメントしてほしい。
ということで、しばらく新企画に潜る。いや、同人誌を作る計画が既にあって、そっちが手一杯のはずなんだけど。大丈夫かいな。
シェパード・ミード 『努力して産業スパイに成功する法』 1969
モーリス・キュリー 『渚の果てにこの愛を』 1971
ロバート・クレイン 『老女のたのしみ』 1971
バリイ・イングランド 『脱走の谷』 1975
アントニイ・プライス 『隠された栄光』 1977☆
ダグラス・フェアベイン 『銃撃!』 1977☆
ウィリアム・ゴールドマン 『マジック』 1979☆
ソル・スタイン 『法廷の魔術師』 1979
ハリー・クレッシング 『今夜ロズのパーティにでかけるの?』 1979
ピーター・ベンチリー 『アイランド』 1979
ヒュー・フリートウッド 『ローマの白い午後』 1979☆
ポール・ギャリコ 『ズー・ギャング』 1979☆
ジョン・グレゴリー・ダン 『エンジェルズ・シティ』 1980
レナード・ワイズ 『ギャンブラー』 1981☆
J・D・リード 『孤独なスカイジャッカー』 1982
アーサー・ミラー 『野生馬狩り』 1982
ジョゼフ・ウォンボー 『ハリウッドの殺人』 1984☆
ダーク・ウィッテンボーン 『赤いカウボーイ・ブーツ』 1984
ブライアン・ガーフィールド 『反撃』 1984
パット・コンロイ 『潮流の王者』 1988☆
アラン・セイパースタイン 『ロリータは何歳だったか』 1989
マイク・フィリップス 『血の権利』 1990
ジョン・エド・ブラッドリィ 『失われた天使の夜』 1991
チャールズ・バクスター 『安全ネットを突き抜けて』 1992
ピーター・マシーセン 『ワトソン氏を殺す』 1992
フィリップ・リドリー 『恍惚のフラミンゴ』 1993
アラン・ホリングハースト 『スイミングプール・ライブラリー』 1994
デイヴィッド・ボーマン 『ぼくがミステリを書くまえ』 1996
チャールズ・ダンブロジオ 『岬』 1998
イアン・マキューアン 『セメント・ガーデン』 2000☆