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三門優祐のつれづれ社畜読書日記(悪化)

社畜読書日録20170624(西千葉猟書編)

久々に古本ツアーなるものをやってみたくなったのである。
しかしながら、中央線沿線や神保町はありふれすぎてつまらない(実際行けば買うものもいくらも見つかるでしょうが)。
滅多なことでは行かない東東京・西千葉を攻めてみることにした。
土地勘(というか古本屋勘)がまるでないので、エリアの主たる猟奇の鉄人さんに夜10時過ぎに助けを乞う(という外道ぶりを発揮)と、翌朝長文のDMでお返事が! 優しい! 同じく東を目指す小野家氏とともに、「猟奇の鉄人街道」を行く旅が始まったのであった。以下購入物件。

片岡義男狙撃者がいる』(角川文庫)¥108
松本清張張込み』(新潮文庫)¥108
杉本苑子開化乗合馬車』(文春文庫)¥108
山田風太郎厨子家の悪霊』(ハルキ文庫)¥108
仁木悦子石段の家』(ケイブンシャ文庫)¥330
陳舜臣幻の百花双瞳』(徳間文庫)¥100
結城昌治エリ子、十六歳の夏』(新潮文庫)¥100
小杉健治『犯人のいない犯罪』(光文社文庫)¥100
山村正夫卑弥呼暗殺』(ケイブンシャ文庫)¥100
dハワード・エンゲル『自殺の街』(ハヤカワ・ミステリ文庫)¥108
dハワード・エンゲル『身代金ゲーム』(ハヤカワ・ミステリ文庫)¥108
dマーガレット・ミラーマーメイド』(創元推理文庫)¥108
森雅裕さよならは2Bの鉛筆』(中公文庫)¥200
dロバート・クレイス『モンキーズ・レインコート』(新潮文庫)¥108
ジョン・バンヴィル海に帰る日』(クレスト・ブックス)¥200
dパトリシア・ハイスミスプードルの身代金』(扶桑社ミステリー)¥108
dロバート・クレイス『ララバイ・タウン』(扶桑社ミステリー)¥108
dイアン・マキューアンイノセント』(ハヤカワ・ノヴェルズ)¥200
dイアン・マキューアンセメント・ガーデン』(ハヤカワ・ノヴェルズ)¥200
d瀬戸川猛資夜明けの睡魔』(創元ライブラリ)¥108
シオドア・スタージョン時間のかかる彫刻』(創元SF文庫)¥108

いやー買いも買ったり21冊。楽しかった! 中盤やや購入ペースが落ち込むも、終盤の怒涛の追い上げでこの冊数。翻訳物はほとんどダブり掴みだが、これはいさ仕方なし。先日も『モンキーズ・レインコート』をゲットしたロバート・クレイスは布教セット用として見つけ次第常に確保するようにしているもの。新刊の『約束』で「ようやく」シリーズ人気に火が付いたか、amazonマケプレ価がいささか残念なことになっているが、俺も転売屋に身をやつしてみようかね(冗談)。

 

陳舜臣『割れる』(角川文庫)を読んだ。
この作品は古くは大学サークルにいた頃から薦められていたのになぜか読まなかった本。それにしても、俺にこの本を薦めた人は、俺がお返しに薦めた本を読んでくれただろうか。謎。
神戸で中華料理店を経営する華僑、陶展文が探偵役を務める本書は、トリックそのものはごくシンプルだし、伏線の丁寧な配置も含めて「何が起こっていたか」を読者も見破りやすい作品である。しかし、丁寧な回収によって一切の過不足なく、綺麗に事態を解き明かして見せる手際はずば抜けて素晴らしい。結末において、作中出てきた「真っ二つに割れる」という言葉の意味を理解した瞬間、「あっあー」と一瞬言葉を失うことは疑いなし。ケレンもハッタリも不要、ただ推理小説を読む喜びを思い出させてくれる一作。 

割れる―陶展文の推理 (1978年) (角川文庫)

割れる―陶展文の推理 (1978年) (角川文庫)