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三門優祐のつれづれ社畜読書日記(悪化)

社畜読書日録20170531

ギリギリ掲出。

昨日書いたとおり、一応来月の新刊予定を振り返る。

 

08/ボストン・テラン『その犬の歩むところ』(文春文庫)
08/スミス・ヘンダースン『われらの独立を記念し』(ハヤカワ・ミステリ)
上/E・C・R・ロラック『殺しのディナーにご招待』(論創海外ミステリ)
13/M・ヨート&H・ローゼンフェルト白骨 犯罪心理捜査官セバスチャン 上下』(創元推理文庫
17/サビーン・ダラント『嘘つきポールの夏休み』(ハーパーBOOKS)
17/リサ・オドネル『神様も知らないこと』(ハーパーBOOKS)
17/カリン・スローター『サイレント 上下』(ハーパーBOOKS)
19/イアン・モーティマー『シェイクスピア時代のイギリス生活百科』(河出書房新社
22/E・O・キロヴィッツ『鏡の迷宮』(集英社文庫
22/ジーン・ウルフ『書架の探偵』(新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)
22/サンドローネ・ダツィエーリ『死の天使ギルティネ 上下』(ハヤカワ・ミステリ文庫)
26/C・デイリー・キング『鉄路のオベリスト』(論創海外ミステリ)
30/R・D・ウィングフィールド『フロスト始末 上下』(創元推理文庫
30/ジム・ケリー凍った夏』(創元推理文庫

 

個人的要注目作品が集中した月。
□テランはクライム・ストーリーとは一味違うようだが出るなら必ず買わなければならない(そして次の本の翻訳に弾みをつけたい)作家。前作『暴力の教義』が話題にならなかったのはいまいち納得が行っていないが、文春と新潮の宣伝の差だと思う。
□「犯罪心理捜査官セバスチャン」シリーズは第三作。第一作でキャラクターを作り込み、第二作でそれをしっかり発展させたので、第三作の転がし方には大いに期待。
□『嘘つきポールの夏休み』は、お気楽人生を送る口から出まかせ男が、ふとしたことから地獄に向かって一直線に転がり落ちるサスペンス小説。こんなのつまらない訳ないんだよな。ハーパー・コリンズはヴィレッジブックスと同じくらいの頻度でいいので安打を打ち続けてほしい。
□『シェイクスピア時代の~』は、小説も書いている歴史学者の、イギリスではベストセラーになった一般書。でも諸兄、原題が The Time Traveler's Guide to Elizabethan England (『エリザベス朝イングランド 時間旅行手引き』)という時点で読みたくなりませんか?
□C・デイリー・キングは、カッパノベルズ版を持っているし読んだので買う気力が薄い(どうせ増えるのは注釈だけだし)が、一応載せておきます。併録の短編は、面白いんですかね。
□それより何より、ジム・ケリーが最重要。前作『逆さの骨』で大ホームランをかましながらもまたも三年待たされてしまったが、そのクオリティの高さは既にお墨付き。この夏のマストリードですね。

 

会社帰りに寄ったブックオフで、あるのは分かっていた本を確保。

アーネスト・ブラマ『マックス・カラドスの事件簿』(創元推理文庫)\108

 

今日読んだ本は、エラリー・クイーン『中途の家』(角川文庫)
弘前読書会課題図書。17日の読書会までに、あと何冊初期クイーンを読めるか。以下、省力気味のミニコメント。
・「読者への挑戦状」を設定する時に、最もやりやすいのが「消去法」。「犯人を指し示す直接的な証拠を指摘させる」よりも「犯人を絞り込むための条件を揃えさせる」方が、読者としても納得しやすい。(逆に言えば、「マッチの謎」「被害者の素姓の謎」など、本作に登場する一つひとつの謎においては、厳密性を期するために論理が複雑化しているが、辿りつくべき解答そのものはシンプルになる)
・「消去法」であるがために犯人を屈服させる方法が自白しかない、というツメの不徹底(集めた証拠において論理的に正しく見える限りは犯人、というゲーム性の中でのみの勝利)。
・女性、恋愛の書き方の拙劣さは、一向に改善されない(じゃあ男性は上手いのかというと……)。

中途の家 (角川文庫)

中途の家 (角川文庫)