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三門優祐のつれづれ社畜読書日記(悪化)

最後の宣伝

明日は第21回文学フリマ東京ですね。

再三宣伝している通り、アントニイ・バークリー書評集製作委員会は2階のエスカレーターからは離れている方の扉の目の前、カ-02にスペースをいただいております。

頒布物は、『アントニイ・バークリー書評集 第3巻』。「英国女性ミステリ作家」編ということで、英国生まれの女性作家ばかりを30名ほど集め、彼女たちの作品ざっと150冊分をバークリーが書評でどのように弄り倒したかを明らかにしたいと思います。なお、オフセット96ページと第1巻、第2巻に比べてページ数は倍増しました。スゴイ!(校正の手間が)

新刊の第3巻は500円です。なお、当日は小部数ですが第2巻(フランスミステリ編、こちらは300円です)を持ち込む予定です。まだ購入していないという方は、こちらもご検討くださいまし。

 

細かい内容については、こちらも参考にしていただければと。

deep-place.hatenablog.com

 

なお、書影はこんな感じであります。色は私もまだ実物を見ていないのでよく分かりません。

 

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当日は、東京流通センター 2階のカ-02でお待ちしております。

 

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今回の文学フリマでは、サークル「海外文学好き好きボーイズ」(文フリカタログではこちらを参照

https://c.bunfree.net/c/tokyo21/2F/%E3%82%A4/1

)の『東京創元社 海外文学セレクション全レビュー』に、5本ほどレビューを寄稿いたしました。具体的には『長い日曜日』『沈黙のあと』『私家版』『葬儀よ、永久に続け』『迷える者へのガイド』です。好きな作品ばかりやらせていただきました。まったく感謝です。三門のレビューは低価値ですが、参加者の皆さんはとてもレベルが高いので、ミステリSF純文学ブラックユーモア幻想怪奇、なんでもありのあのレーベルに興味のある人は是非手に取ってみてください。

 

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最後に、第三巻三本目のサンプルを投下します。

では、以下をダウンロードしてくれたまえ。

 

http://bit.ly/1PTJvQr

 

アントニイ・バークリーの、変に作家に拘らないときの目の高さを感じさせるのが、メアリ・スチュアート My Brother Michael のレビューです。1960年のベスト、と年度当初から大言していますが、この作品は実際CWAのゴールドダガー次点(当時はシルヴァーダガーはなかったためこのような表記になります)となっています。ちなみに、ゴールドダガーがライオネル・デヴィッドスンのデビュー作『モルダウの黒い流れ』であり、同じく次点に入ったのがジュリアン・シモンズ『犯罪の進行』(翌年のエドガー賞受賞作)であるところからも、並び立つ本作のクオリティの高さが窺い知れるでしょう。スチュアートの作品は実は数作翻訳されているようですが、となると俄然興味がわいてきませんか? ことに、シェイクスピアの戯曲「テンペスト」の舞台であるコルフ島を背景にした『この荒々しい魔術』(世界ロマン文庫)は、かなり面白そうなゴシックロマンス。こちらでも紹介されていますが、現代の目から見ても上質な作品のようですね。

Dynamite: This Rough Magic

 

グウェンドリン・バトラーも翻訳の進んでほしい作家なのですが、なかなか翻訳されませんね。バークリーが紹介しているうちでも、 Coffin Following などトリッキーでかつ読みやすい作品が多いようで、ついつい電書を買ってしまいそう。

前回登場したヘレン・ロバートソンも再登場。やっぱり面白そうですね。

左下ではマーシュ、フェラーズ、ギルバートをそつなく褒めていて、こうなると英国の女性作家にはやはり優しいのかなあ、なーんて。

 

より具体的には、ぜひ本誌を手に取っていただければ幸いです。

どうぞよろしく。