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三門優祐のつれづれ社畜読書日記(悪化)

7月(下旬)読書記録

あっと言う間に7月が終わってしまいましたね。週刊読書記録とはなんだったのか。隔週刊に改めましょうか。

さて、7月後半の読書記録です。

 

・買った新刊

サラ・グラン『探偵は壊れた街で』(創元推理文庫

クレイグ・ライス『ジョージ・サンダース殺人事件』(原書房

ジョー・ネスボネメシス 復讐の女神』(集英社文庫)

アン・クリーヴス『水の葬送』(創元推理文庫

 

・読んだ新刊(例によって超主観的判定による採点つき、10点満点)

⑥パトリック・デウィット『みんなバーに帰る』(東京創元社

イーデン・フィルポッツだれがコマドリを殺したのか?』(創元推理文庫

⑨ベリンダ・バウアー『生と死にまつわるいくつかの現実』(小学館文庫)

⑥クレイグ・ライス『ジョージ・サンダース殺人事件』(原書房

⑦サラ・グラン『探偵は壊れた街で』(創元推理文庫

⑧アン・クリーヴス『水の葬送』(創元推理文庫

 

それほど買ってないし、それほど読めてもいないですね。読書会に合わせてアルヴテーゲンを拾い読みしたりしたのが原因か。

フィルポッツの『だれがコマドリを殺したのか?』は、論創海外ミステリからイギリス初版を底本にしたバージョン(『だれがダイアナ殺したの?』)が出るそうで、いや~、一体どういうことなんですかね、これは。意外なトリックの演出の上手さもさることながら、底意地の悪い人間関係を書かせると、イギリスの作家は実に生き生きしてくる。

「10歳くらいの少女の視点から父親の、家族の、街の、世界の歪みを描く」というエグイにもほどがある小説『生と死にまつわるいくつかの現実』は、7月の新刊でも上位に来る傑作だと思います。娘がお父さんのことまだまだ大好きで尊敬してて、っていうのがね~悲しすぎます。お母さんのことがライバルだったりね……少女だったことも少女が身近で育つのを見たこともない俺(兄弟三人なんで)としても、キュンとしたというか切なくなりました。(小並感)

「『探偵が壊れた街で』、壊れてるのは探偵やろ!w」という名言をどこぞで聞き込んで読み始めてしまったのですが、意外と面白かったですね。まったく普通でない私立探偵もので、JDCシリーズ(清涼院流水御大のデビュー作から連なる作品群)を連想してしまいました。別に似てはいないんですけど、思想的には近縁の作品だと思います。

そしてアン・クリーヴス『水の葬送』。まず出てよかったというのが正直なところ。前作のあの結末から直接つなげる形でどう作品を作るのか、とおっかなびっくりでしたが、逃げず媚びず、正面からペレスを困難にぶつけているあたりは好感持てます。サブテーマが「人間は変われるのか?」なところも渋いですね。人間の感情のこんがらがりを鮮やかに捌いて読者の眼前に提出して見せる解決編は、ロスマク的、とは言わないまでもなかなか良かった。

 

8月も色々出るみたいですが、書店のポイント付与の関連で来月回しになっているインドリダソン『声』から、ジャック・カーリイ『髑髏の檻』、邦訳一体何年ぶり?のレンデル『街への鍵』へ。ヴィクトリア朝タイムスリップスリラー『ザ・リッパー』は、カーの孫娘の作品と言うことですが、あらすじの時点で既にして妖しいw こんなん欧米でマーケットあるんかい?と疑問はつきません。ブレイク・クラウチ『ラスト・タウン』は完結編ということですが……完結って全滅? 月後半も楽しみな作品が多いですが、それはまた次回ということで。

 

生と死にまつわるいくつかの現実 (小学館文庫)

生と死にまつわるいくつかの現実 (小学館文庫)

 

 

水の葬送 (創元推理文庫)

水の葬送 (創元推理文庫)