深海通信 はてなブログ版

三門優祐のつれづれ社畜読書日記(悪化)

第十八回:ディック・フランシス『利腕』(ハヤカワ・ミステリ文庫)

○弱虫泣き虫意地っ張り咲: はじめますか。しかし、短編読んでたとかインフルエンザとか中の人が忙しいとか、ひと月も開いてしまうと単なる言い訳にしか聞こえないので……毎週更新に戻せるように頑張ろう。姫: 今回取り上げるのはディック・フランシス『利腕…

「東西ミステリーベスト100」投票10作品紹介・後編

飽きもせず懲りもせず、深夜に更新。本日の更新は5位から1位まで逆順に。5. ドン・ウィンズロウ『高く孤独な道を行け』(創元推理文庫) 高く孤独な道を行け (創元推理文庫)作者: ドンウィンズロウ,Don Winslow,東江一紀出版社/メーカー: 東京創元社発売日: …

「東西ミステリーベスト100」投票10作品紹介・前編

プロの評論家もすなる「東西ミステリーベスト100」投票10作品紹介というものをやってみたいと思ふ。とはいえ、実際投票した訳ではないので、「もし投票権があったらこれを入れた」程度の参考資料として見て頂きたい。今日の更新では10位から逆順に6位まで。…

第十七回:ウィリアム・H・ハラハン『亡命詩人、雨に消ゆ』(ハヤカワ文庫NV)+ケン・フォレット『針の眼』(創元推理文庫)+アーサー・メイリング『ラインゴルト特急の男』(ハヤカワ文庫NV)

○寂れて古めかしい遊園地咲: イントロを入れるのももったいないほどに遅延しているので、サクサク進めますぞ。姫: 不人気ブログの唯一にして最高に不人気なコンテンツですものね。せめて安定した更新くらいは守っていきたいものですが。咲: まあ、色々あ…

第十六回:ブライアン・ガーフィールド『ホップスコッチ』(ハヤカワ文庫NV)+ロバート・B・パーカー『約束の地』(ハヤカワ・ミステリ文庫)

○石蹴り遊びのスパイごっこ咲: 16回目ともなるといい加減前口上も言うことがなくなるな。座談会やめるか。姫: どうしても座談形式に拘らなければならない理由はないのだけど、一人ブレインストーミングをやっているような感じで、時たま面白い考えが出るの…

第十五回:トニイ・ヒラーマン『死者の舞踏場』(ハヤカワ・ミステリアス・プレス文庫)+ジョン・クリアリー『法王の身代金』(角川文庫)

○想定外から想定外へ咲: やや遅れましての第15回です。二点ほど想定外の事態が起こり、攻略座談への対応が遅れる形に。姫: 図書館で借りるつもりだった『法王の身代金』が手元に来るまでに二転三転したのと飛び込みの原稿依頼が入ったせいね。我儘を言って…

第十四回:フレデリック・フォーサイス『ジャッカルの日』(角川文庫)+ウォーレン・キーファー『リンガラ・コード』(角川文庫)

○お久しぶりの更新咲: 六週間ぶりの第十四回です。ほんとうにこのまま連載終了では、と思った人も少なくないのでは。姫: 「読まなければならない新刊が溜まりすぎて、攻略用の本を読めない状態だったので、許してほしい」というコメントを頂いております。…

第十三回:マイ・シューヴァル&ペール・ヴァールー『笑う警官』(角川文庫)

○唯一無二の受賞作咲: 第十三回目です。ユダ的な意味で、そろそろ裏切り者が出るかも分からんね。姫: 一クール終わったところで、ライターが数少ない読者を裏切るってことですか?咲: うう、それは割とリアルなジョーク。まあ、まだまだ三分の一も来てな…

第十二回:ディック・フランシス『罰金』(ハヤカワ・ミステリ文庫)

○渡る世間は馬ばかり?咲: 第十二回です。ディック・フランシスと言えば、「競馬シリーズ」で有名な冒険小説の大家のはずなんだけど、この作品、なんだか少し変じゃないか? なんというか……姫: その点については、後半で語って頂戴な。さて、今回取り上げ…

第十一回:ドナルド・E・ウェストレイク『我輩はカモである』(ハヤカワ・ミステリ文庫)+マイクル・クライトン『緊急の場合は』(ハヤカワ文庫NV)

○ユーモアミステリの傑作!咲: 今回も二冊更新で進めます。毎週更新できない言い訳ではあるんだが。姫: 今回の場合には「よんどころのない事情」があるということなので。咲: その事情というのが「二冊目があまりにも微妙な出来で一本もたないから」だろ…

第十回:ニコラス・フリーリング『雨の国の王者』(ハヤカワ・ミステリ)

○英国ミステリ隆盛の陰で泣く作家咲: 前々から少し話していたけれど、フレムリン『夜明け前の時』(1960)から、今回取り上げる『雨の国の王者』(1966)までの8回に渡って、エドガー賞はイギリス出身の作家に占拠された状態だった。姫: 第一回でも説明し…

第九回:エリック・アンブラー『真昼の翳』(ハヤカワ・ミステリ文庫)+ジョン・ル・カレ『寒い国から帰ってきたスパイ』(ハヤカワ文庫NV)+アダム・ホール『不死鳥を倒せ』(ハヤカワ・ミステリ文庫)

○戯画化されたスパイ小説姫: 主に中の人の事情で三年分一気に片付けるということになりました。夏休みだしね。咲: 冒険・スパイ・謀略小説を系統だって読んでいないので、この三作の歴史的な位置づけなどは概ね大雑把というか、間違いが散見される可能性が…

第八回:J・J・マリック『ギデオンと放火魔』(ハヤカワ・ミステリ文庫)、エリス・ピーターズ『死と陽気な女』(ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

○ギデオン警視のリアルライフ咲: 始めます。姫: また出し損ねて二回一気に進める展開に……中の人が忙しいのかしらね。咲: 主に農業が忙しいんだとさ。なぜ買ったし。姫: ま、それはさておき進めましょう。一冊目は『ギデオンと放火魔』(1961)ね。この作…

第七回:ジュリアン・シモンズ『犯罪の進行』(ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

○タブーワードを言わないで咲: 引き延ばしも限界なので、そろそろやりたいと思います……。今回はジュリアン・シモンズ『犯罪の進行』(1960)です。姫: ある単語、あるいはそれに類するキーワードを可能な限り使わない、という方針で対談を行います。咲: …

第六回:シーリア・フレムリン『夜明け前の時』(創元推理文庫)

○可愛いお婆ちゃん?姫: 始めましょう。そう言えば、フレムリンは2009年に亡くなったのよね。1914年生なので、亡くなった時は95歳。大往生といっていいんじゃないかしら。咲: 訃報が流れた時に、ネットで彼女の写真を見たんだけど、すごく可愛いお婆ちゃん…

第五回:エド・レイシイ『ゆがめられた昨日』(ハヤカワ・ミステリ文庫)+スタンリイ・エリン『第八の地獄』(ハヤカワ・ミステリ文庫)

○先週お休みでしたけど咲: 言い訳なしで始めます。今回は先週分も含めて二本立てで行くよ。姫: あくまでも週一本の形式は崩さない、とそういう風に考えているのね。咲: どうもそうらしい。これが吉と出るか凶と出るか。姫: では早速。一つ目の『ゆがめら…

第四回:シャーロット・アームストロング『毒薬の小壜』(ハヤカワ・ミステリ文庫)

○まずはあらすじを咲: 始めます。姫: みるみる無愛想になっているわね。新規のお客さんが非常に入りにくいと思うのだけれど、その点についてのご意見は?咲: 新規のお客さんってなんです?姫: 切り替えて、今回の対象作品『毒薬の小壜』(1956)のあらす…

第三回:マーガレット・ミラー『狙った獣』(創元推理文庫)

○あらすじから始めますが……姫: 始めまーす。 咲: 今回の対象作品はマーガレット・ミラー『狙った獣』(1954)です。僕はこの作品に限らずミラーという作家が非常に好きななので、今回の主導権は逆に姫川さんにゆだねてみようと思います。ちなみに姫川さん…

第二回:レイモンド・チャンドラー『長いお別れ』(ハヤカワ・ミステリ文庫)

○能書きは抜きにしようって言ったじゃないですか咲: 今回我々は新宿のバー的施設にやってきております。 姫: ギムレットには早すぎるね。 咲: 別に早くないですね、8時過ぎだから。それが言いたかっただけだよね。 姫: 時に咲口君、私の出した条件はクリ…

第一回:シャーロット・ジェイ『死の月』(ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

○ごあいさつ 三門優祐でございます。普段から当ブログをご覧いただいている皆様、ありがとうございます。ブログ開設から数カ月経ち、主催の逃避など諸々の都合で更新が遅れる時もありますが、ボルガ博士、お許しください! さて、私三門も連載っぽいような、…

マージェリー・アリンガム『霧の中の虎』再読に寄せて

執筆:TSATOI 「ただの脅迫かもしれないよ」タクシーの中の男は明かるい調子で言った。 こうして、マージェリー・アリンガム『霧の中の虎』(1952)は始まる。巧い書き出しである。のっけから「脅迫」などという単語が出てくるのにもぎょっとするが、「ただ…

三門さんのだらだら雑記20120523

気が付いたら一カ月が経過していたとかよくあることである。ネタがない時はネタになることをしろ、ということで読めない洋書の文字だけ追ってみた。『居心地の悪い部屋』収録の二作品で、一気に注目が高まっているブライアン・エヴンソンの Altmann's Tongue…

【第16便】2012年3月新刊レビュー

放置してしまってごめんなさいの気持ちでいっぱいです。もう5月も終わりなんですが、とりあえず3月分の新刊レビューをアップします。4月分も今月中には何とか。本数が少ないので、国内・翻訳を同時に掲載します。 有栖川有栖『高原のフーダニット』(徳間書…

三門さんのだらだら雑記20120423

ヒル原稿難航中。アリンガムは校正が難航中。 - いい加減どの号があるのか分からないミステリマガジンを一挙に整理。全部で150冊ほどあった。一番古いのが73年の6月号だが、ほとんどはここ10年程の刊行。多いんだか少ないんだかよく分からん。特に古本で買っ…

三門さんのだらだら雑記20120417

どうでもいい新刊書含め書籍を50冊ほど処分したら2000円になったので、古本屋に買い物に出かけることにした。金があれば本になる。これは避けがたく、仕方のないことである。本日は早稲田の丸三文庫へ。ひげ眼鏡で、比較的若い店長が一人でやってる割に新し…

三門さんのだらだら雑記20120416

まとまった書評を書こう書こうと思いながら、いまひとつ時間が取れない、という言い訳に走りたくなる日々。まとまらない駄文を流して更新に代えることにします。真面目な書評も進行中なので、それはもう少々お待ち下さい。 - 私は特に用もないのにブックオフ…

【第15便】深海春のカー祭り 第一弾 「『ユダの窓』所感」

昨日更新して今日も更新する、そんな速度に慄然としますね。ここは本当に深海ですか? 「深海春のカー祭り」第一弾は、以前「『誰の死体?』再読レビュー」を投稿していただいたTSATOさんによる『ユダの窓』レビューです。今回も、明解な分析に裏打ちされた…

【第14便】深海春のカー祭り 概要

2012年3月、奴が帰ってきた。 クラシックミステリ界の愛され一番星、ジョン・ディクスン・カー(またの名をカーター・ディクスン、あるいはカー・ディクスン)の作品が、次々新訳されることを誰が予測しただろう。3月に『蝋人形館の殺人』、5月に『皇帝の嗅…

【第13便】2012年2月新刊レビュー(翻訳編)

続いて翻訳編。 ドン・ウィンズロウ『野蛮なやつら』(角川文庫) 野蛮なやつら (角川文庫)作者: ドン・ウィンズロウ,東江一紀出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2012/02/25メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 35回この商品を含…

【第12便】2012年2月新刊レビュー(国内編)

2012年2月の新刊レビューをお送りします。まずは国内から。 相沢沙呼『マツリカ・マジョルカ』(角川書店) マツリカ・マジョルカ作者: 相沢沙呼出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2012/03/01メディア: 単行本 クリック: 30回こ…

【第11便】「略称孤独の本読み」第三回:パトリシア・ハイスミス

不肖私はパトリシア・ハイスミスという作家が大好きなんで、このブログの読者である皆さんにぜひオススメしたいと思って、ワープロソフトを立ち上げては見たが、しかしながら彼女は、よくよく考えてみなくても広く一般にアピールするような作家ではないとい…

【第10便】2012年1月新刊レビュー(翻訳編)

お次は翻訳編です。今月も力作多数。 アルジャーノン・H・ブラックウッド『秘書綺譚 ブラックウッド幻想怪奇傑作集』(光文社古典新訳文庫) 秘書綺譚―ブラックウッド幻想怪奇傑作集 (光文社古典新訳文庫)作者: アルジャーノンブラックウッド,Algernon Henry…

【第9便】2012年1月新刊レビュー(国内編)

幾分遅れ気味ですが更新。2012年1月の新刊レビューをお送りします。今回は国内4本、翻訳5本です。まずは国内からどうぞ。 綾辻行人『奇面館の殺人』(講談社ノベルス) 奇面館の殺人 (講談社ノベルス)作者: 綾辻行人出版社/メーカー: 講談社発売日: 2012/01/…

【第8便】「略称孤独の本読み」第二回:クリスチアナ・ブランド

第二回:誰が被害者を殺そうと構うものか。 今回はイギリスの女性作家、クリスチアナ・ブランドを取り上げる。1941年、『ハイヒールの死』でデビューした彼女は、デビューそのものは遅かったが、黄金時代の巨匠である、アガサ・クリスティー、エラリイ・クイ…

【第7便】2011年12月新刊レビュー(翻訳編)

続いて翻訳小説編をば。 スコット・ウエスターフェルド『リヴァイアサン クジラと蒸気機関』(新☆ハヤカワ・SF・シリーズ) リヴァイアサン クジラと蒸気機関 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)作者: スコット・ウエスターフェルド,小林美幸出版社/メーカー: 早川…

【第6便】2011年12月新刊レビュー(国内編)

おばんです。 こまめに更新をしたいけれども、夜の寒さに負けてついつい布団に潜ってしまう今日この頃です。2011年12月の新刊レビューをお送りします。今回は国内四本、翻訳六本となります。では国内からどうぞ。 上田早夕里『リリエンタールの末裔』(ハヤ…

【第5便】ゲスト投稿席(第一回・前半)

ドロシー・L・セイヤーズ『誰の死体?』再読に寄せて執筆:TSATOⅠ ドロシー・L・セイヤーズを評するのによく聞く言葉で「本国英国ではクリスティと並び称されている(ほどの)作家」というものがある。とはいえ彼女の作品は「本格ミステリ」という日本語で…

【第5便】ゲスト投稿席(第一回・後半)

Ⅱ. 『誰の死体?』はデビュー作ではあるものの、後の作品を思わせる要素が多く見られるのも特徴だ。セイヤーズの作風は一般的に前期と後期に分けられて考えられているが、デビュー作の時点ですでに、後期作で見られるようなDetective Storyそのものへの批判…

【第4便】「一人退屈な夜半には、酒を呷って本を読む」第一回:マイケル・スレイド 後編

全作品解題をやってもいいんですが、みるみるスペースが埋まるので一作だけキャッチーなのを選びます。髑髏島の惨劇 (文春文庫)作者: マイケルスレイド,Michael Slade,夏来健次出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2002/10メディア: 文庫 クリック: 18回この商…

【第4便】「一人退屈な夜半には、酒を呷って本を読む」第一回:マイケル・スレイド 前編

第一回:マイケル・スレイドを、読むな! 最近若い人と話をしていて、「翻訳ミステリって何から読んだらいいか分からない」という言葉を耳にする機会が多い。そういう人は真面目だなー、と思う。いや、自分がその辺にあった本を適当に読んでいっただけで、系…

【第3便】2011年11月新刊レビュー(翻訳編)

国内編の(その1)に続いて(その2)は翻訳編です。あれがない、これがないと若干の不満も残りますが、とりあえず今回はこんなところで。 ユッシ・エーズラ・オールスン『特捜部Q-キジ殺し-』(HPM)特捜部Q ―キジ殺し―― (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 185…

【第2便】2011年11月新刊レビュー(国内編)

遅ればせの更新となります。第二回となる今回は、11月に発売された新刊16冊(国内7冊、翻訳9冊)の感想16本を押し並べます。一月遅れとなるのが残念ですが、もう少し早く出来ないものかな。括弧内はペンネーム。順序は投稿順。 平山瑞穂『3・15卒業闘争』…

【第1便】2011年・年度末ランキング本予想座談会

記念すべき更新第一回は、2011年11月12日から13日にかけて行われた、「年度末ランキング本・着順予想座談会」のログを全文掲載したいと思います。この座談会に参加してくれたのは、以下のサークルの面々です。東京大学 :新月お茶の会 早稲田大学:ワセダミ…

深海通信、はじまります

このブログは、大学ミス研、あるいはTwitter上でなぜか惹かれあった者たちがこっそりと集い、己の趣味を広くもない世間様に発信していく、そういう趣旨で構築されました。新刊既刊国内翻訳本格非本格、否やミステリ以外にも、SFホラー幻想文学一般文芸、ある…