深海通信 はてなブログ版

三門優祐のつれづれ社畜読書日記(悪化)

翻訳ミステリ

買った本・読んだ本(1/7-1/13)

これまで月曜日から日曜日の週録を書いていたのだが、前回土曜日(1/6)までで切ってしまっていたので、今回から暫定的に「日~土」スタイルにしてみたいと思う。正直あまり変わらないと思うけど。 ■買った本・カトリーヌ・アルレー『大いなる幻影 死者の入…

買った本・読んだ本(12/25-1/6)

正月休みに書き忘れた、のが後ろにずれこんでいるがそのうちに辻褄を合わせようと思う。今年の年末はコミケにも行かず、実家には二度ほど帰ったが特に何もなく、ダラダラとインプットに努めてしまった(アウトプットしていないだけともいう)。 ■買った本 ・…

『姿なき招待主』と『そして誰もいなくなった』の「差異」、あるいはメディアミックスの功罪

---本稿は『姿なき招待主』、『そして誰もいなくなった』、『九番目の招待客』のネタバレを含みます。読了の上でお読みください。--- 2023年、二冊の本がさほど時間をおかず刊行された。9月末に国書刊行会から出た『九番目の招待客』(オーエン・デイヴィス…

【構想中】パトリック・クェンティン中短編傑作選は出せないのか?

昨日の続き。 現在確認されているもので、パトリック・クェンティン/Q・パトリックには70の中短編がある(のちに長編の原型になった長めの中編は除く。また作品の新発見も続いており、今後さらに増える可能性がある)。作品の出来にある程度ばらつきがある…

2022年に購入した洋書について(古書編)

新刊書に続いて古書編も。こちらは個々の本についてもう少し詳しく書いておく。 購入冊数:11冊 ・John Dollond A Gentleman Hangs 色々な意味で、今年最大の当たり。M・Kさんが『ある中毒患者の告白』で読みやすさ・総合点ともに高く評価しているにもかかわ…

2022年に購入した洋書について(新刊書編)

まとめを書いておかないとうっかり年を越すので早め早めに。 購入冊数:31冊(うち、実本は12冊) ・kindleで買ったもの(著者名順) Margot Bennett The Widow of Bath (kindle)Dorothy Bowers Fear for Miss Betony (kindle)Dorothy Bowers The Bells of O…

「奇想天外の本棚」(国書刊行会)刊行予定情報まとめ(2022/9/18時点)

これまでもtwitterやfacebookにて度々「刊行予告」を出してきた編者氏が、先日「第一回配本間近なので、二期以降順不同で発表します。」ということで、大量の刊行予定情報をtwitterにて投稿された。 以下、現状国書刊行会HPにて「第一期」として発表されてい…

【ネタバレあり】ジョン・ロード『デイヴィッドスン事件』(1929)

どう感想を書こうとしてもネタバレになってしまうので、ブログに書くことにする。というか以下のあらすじすらネタバレを回避するために、やや捻った書き方になっている。「クリックで展開」以降は決定的ネタバレなので、クリックは注意。 あらすじ: デイヴ…

Martin Edwards, The Life of Crime が刊行されました

イギリスのミステリ作家/評論家のマーティン・エドワーズが年頭に自分のブログやフェイスブックにて「ミステリの歴史についての本を出します」と言っていたものが、 The Life of Crime という題でついに刊行されました。全世界的な流通の問題により(イギリ…

クラシックミステリ未訳短編夜話② D・L・セイヤーズ ”The Locked Room”

第一回のご好評に気をよくして第二回(2022/3/28)も無事放送できました。曜日がずれているのは、当初予定日の29日に用事が入ったため。急遽の変更でしたが、それでも聞きに来てくださった方、ありがとうございます。 前回同様、スペースでお話した内容を簡…

綺想社刊行のクラシックミステリの「解説」について

本邦未紹介の作家の本(しかもミステリ作家としては一発屋)の解説で作家の紹介を一切しない(ブリストウ&マニング『姿なき祭主』)、作者の既に翻訳された本について「この名義の作品は一冊も翻訳されていない」と誤った紹介を行う(Q・パトリック『危険…

カミングズ「バナー上院議員シリーズ傑作選」収録作短評

昨夜アップロードした「バナー上院議員シリーズ傑作選」収録作品についての短評を以下掲載します。詳細なレビューをお読みになりたい方は本年11月刊行予定のRe-ClaM 第7号をお買い求めください。メイン特集の「愛書狂森英俊の生活と意見」も非常に充実した内…

カミングズ「バナー上院議員シリーズ傑作選」目次検討

ブログの更新はお久しぶりです。 現在私は Re-ClaM 第7号の作家小特集で取り上げるジョセフ・カミングズの「バナー上院議員シリーズ」の短編を、単行本未収録のものも含めて読み終えたところです。せっかくですから、殊能センセーがかつてアヴラム・デヴィッ…

2020年洋書購入記録(年年歳歳編)

Re-ClaMとして活動するようになってから洋書の購入量が格段に増えている自覚はあるのですが、今年は結構買ったなと。そこで実際に何をどのくらい買ったか、まとめてみたいと思います。もしかすると、ここから色々な企画のネタを読み取れるかもしれません。 …

同人誌レビュー:『原子間諜 ―原子の城〔アトムスク〕―』

これから出るよその同人誌を勝手に宣伝します。 『原子間諜 —原子の城〔アトムスク〕—』著者:嘉密斉・史密斯(カーマイケル・スミス)翻訳:森井勝利刊行:綺想社価格:6,000円 本作は「人類補完機構」シリーズで知られるコードウェイナー・スミス(=ポー…

Re-ClaM 第5号の目次を公開いたします

来たる11月刊行予定のRe-ClaM第5号の目次が確定しましたので、ここに公開いたします。 ◆【特集】ロス・マクドナルドの新たな巡礼フェアプレイの向こう側 ~ The Far Side of Fair Play ~(法月綸太郎)ある夫婦の物語――ロス・マクドナルドとマーガレット・…

Re-ClaM 第4号 を予定通り刊行します

昨今のコロナ禍の影響で、GWのコミケや文フリがキャンセルになってしまいましたが、Re-ClaMは予定通り新刊の第4号を刊行いたします。今回はイベント頒布はなしで、書肆盛林堂での通販が初出です。通販開始は4/25(土)17:00予定。販売価格は1,200円(+送料…

【告知】別冊Re-ClaM Vol.2 刊行のお知らせ

昨年8月に刊行するや、好評のうちに即日完売した『死の隠れ鬼 J・T・ロジャース作品集』に続く「別冊Re-ClaM」の第二弾を、2020年4月、リリースいたします! フォルチュネ・デュ・ボアゴベ『乗合馬車の犯罪』 訳者:小林晋 ページ数:320 価格:2,500円(税…

洋書読書:Henrietta Hamilton "Answer in the Negative" (1959)

Henrietta Hamilton Answer in the Negative (1959) を読んだ。 Answer in the Negative (English Edition) 作者:Hamilton, Henrietta 発売日: 2020/02/20 メディア: Kindle版 Agora Books が始めた "Uncrowned Queens of Crime" というシリーズの二作目で、…

Re-ClaM編集部BOOTHにて、バークリー書評集の通販を開始します

これまで、文学フリマ等イベントで頒布後、盛林堂書房様/書肆盛林堂様にて販売を委託しておりました「アントニイ・バークリー書評集」ですが、この度、Re-ClaM編集部のBOOTHにて販売を行うことに致しました(そのため、盛林堂書房様での委託は終了となりま…

[レビュー]Bodies from the Library, edited by Tony Medawar (2018)

未完成のまま完全に忘れていた原稿が発掘されたので、完成させて投稿しておく。どのくらい前に書いていたかというと多分今年の春、Bodies from the Library 2 が出る前のことなので、まあ数か月以上前であろう。 一応総括しておくと、このアンソロジーは作品…

第29回文学フリマ東京に出展します

最近イベントの出展情報しか書いていないのはさすがにまずいかな…… 閑話休題、今週末の11/24(日)、東京流通センターで行われる第29回文学フリマ東京に参加します。ブース番号はヌ-19です。また、今回の新刊はRe-ClaM 第3号「クラシックミステリ(再)入門…

第5回文学フリマ福岡に出展します

Re-ClaM編集部西へ。Re-ClaM史上初(というよりも三門史上初)、東京以外の文学フリマに参加いたします。10/20に福岡で実施される「第5回文学フリマ福岡」にて僕と握手!この度新刊として、Re-ClaM eX vol.1 をご用意しております。 Re-ClaM eX は、WEB Re-C…

最近読んだ新刊のこと

別冊Re-ClaM第1巻は何とか出たものの、その後もRe-ClaM第3号の編集準備に追われたり、商業の解説原稿の準備が立て込んだり、三倍界王拳で長編翻訳の原稿を終わらせたりした三門です。ごきげんよう。 かくも状況が逼迫している時は、時間のなさに反比例して新…

別冊Re-ClaMとWEB Re-ClaMについて

別冊Re-ClaM 第1巻 『死の隠れ鬼』書影 明日7/27(土)、別冊Re-ClaM 第1巻『J・T・ロジャーズ作品集 死の隠れ鬼』が発売になります。盛林堂書房開店のタイミング(11時)から店頭販売を開始、また書肆盛林堂での通販の受付を始める見込みとのことです。 内…

別冊Re-ClaM 第1巻がいよいよ出ます

既に過去のエントリでお知らせしている通り、別冊Re-ClaM の第1巻を刊行します。 第1巻は『死の隠れ鬼 J・T・ロジャーズ作品集』と題し、『赤い右手』でつとに知られるJ・T・ロジャーズの中短編を紹介します。なお、原書房の「奇想天外の本棚」で刊行予定と…

クリスティー原作映画 The Passing of Mr. Quinn とそのノベライズについて

本日、山口雅也プロデュースになる海外ミステリ叢書《奇想天外の本棚》の第一弾、アガサ・クリスティー原作、マイケル・モートン著『アリバイ』が発売されます(都内の早い書店では既に置かれているようです)。この作品は、クリスティーの初期の名作『アク…

パトリック・クェンティン中短編クエスト(その1)

国会図書館でコピーしてきた作品を早速読んでみようかと思ったのですが、何と!(何と?)2010年に「翻訳道楽」(by米丸氏)で購入したクェンティンの短編集が出てきてしまったので、そちらを先に読んでみました。『ティモシー・トラントの殺人捜査』は、そ…

パトリック・クェンティン中短編クエスト(準備体操編)

Crippen & Landru が The Cases of Lt. Timothy Trant を出すというので※1、最近クェンティンの書誌情報を調査しています。英米の雑誌の情報は The FictionMags でおおまかに調べられるし、邦訳情報はaga-search(とその元になっている森事典)やameqlistを…

CWA各ダガー賞のロングリストが発表されました

昨日、CWA(英国推理作家協会)の各種ダガーの第一次候補作が発表されました(ゴールドダガー15作、他10作)。第二次候補作(各ダガー5作)に絞り込まれるのは夏、受賞作の発表は10月ですが、現時点での注目作をいくつかご紹介します。 ■CWA Gold Dagger 201…