深海通信 はてなブログ版

三門優祐のつれづれ社畜読書日記(悪化)

未訳作品紹介

【構想中】パトリック・クェンティン中短編傑作選は出せないのか?

昨日の続き。 現在確認されているもので、パトリック・クェンティン/Q・パトリックには70の中短編がある(のちに長編の原型になった長めの中編は除く。また作品の新発見も続いており、今後さらに増える可能性がある)。作品の出来にある程度ばらつきがある…

買った本・読んだ本(12/18-12/24)

前週の飲み会三回(うち一回は仙台)でヘロヘロになってしまい、本を買えずまた読めずの週であった。 ■買った本(含む届いた本) ・ルーシー・ワースリー『アガサ・クリスティー とらえどころのないミステリの女王』(原書房)・中村融編『星、はるか遠く』…

近況遠況(2023年12月前半) その1

XにてSF方面から「日録週報を細かにつけておくことが大事」「SNSは流れてしまうからブログに書くのが大事」という風な話が流れてきていて、ンマ~そりゃそうだけどもと、日記三日坊主マンとしては耳が痛い。やるなら年内に書き始めておきたい、週報く…

【構想中】アントニイ・バークリーの書評について

私は以前(2014年~2017年)『アントニイ・バークリー書評集』という同人誌を刊行した。これは、1956年から1970年にかけて Manchester Guardian(のち紙名が変わって The Guardian)に、バークリーがフランシス・アイルズ名義で連載した犯罪小説書評欄 ”Crim…

【古典探偵小説架空叢書】クラシックカルトコレクション 第Ⅱ期について

「エディション・プヒプヒ」の垂野創一郎さんがこのような面白い記事を書いていたので、乗っからせていただこう。 puhipuhi.hatenablog.com 以前、私はアントニイ・バークリー書評集第6巻の会場限定おまけとして「クラシックカルトコレクション第Ⅰ期 内容見…

Martin Edwards, The Life of Crime が刊行されました

イギリスのミステリ作家/評論家のマーティン・エドワーズが年頭に自分のブログやフェイスブックにて「ミステリの歴史についての本を出します」と言っていたものが、 The Life of Crime という題でついに刊行されました。全世界的な流通の問題により(イギリ…

クラシックミステリ未訳短編夜話② D・L・セイヤーズ ”The Locked Room”

第一回のご好評に気をよくして第二回(2022/3/28)も無事放送できました。曜日がずれているのは、当初予定日の29日に用事が入ったため。急遽の変更でしたが、それでも聞きに来てくださった方、ありがとうございます。 前回同様、スペースでお話した内容を簡…

カミングズ「バナー上院議員シリーズ傑作選」収録作短評

昨夜アップロードした「バナー上院議員シリーズ傑作選」収録作品についての短評を以下掲載します。詳細なレビューをお読みになりたい方は本年11月刊行予定のRe-ClaM 第7号をお買い求めください。メイン特集の「愛書狂森英俊の生活と意見」も非常に充実した内…

カミングズ「バナー上院議員シリーズ傑作選」目次検討

ブログの更新はお久しぶりです。 現在私は Re-ClaM 第7号の作家小特集で取り上げるジョセフ・カミングズの「バナー上院議員シリーズ」の短編を、単行本未収録のものも含めて読み終えたところです。せっかくですから、殊能センセーがかつてアヴラム・デヴィッ…

【告知】別冊Re-ClaM Vol.2 刊行のお知らせ

昨年8月に刊行するや、好評のうちに即日完売した『死の隠れ鬼 J・T・ロジャース作品集』に続く「別冊Re-ClaM」の第二弾を、2020年4月、リリースいたします! フォルチュネ・デュ・ボアゴベ『乗合馬車の犯罪』 訳者:小林晋 ページ数:320 価格:2,500円(税…

洋書読書:Henrietta Hamilton "Answer in the Negative" (1959)

Henrietta Hamilton Answer in the Negative (1959) を読んだ。 Answer in the Negative (English Edition) 作者:Hamilton, Henrietta 発売日: 2020/02/20 メディア: Kindle版 Agora Books が始めた "Uncrowned Queens of Crime" というシリーズの二作目で、…

[レビュー]Bodies from the Library, edited by Tony Medawar (2018)

未完成のまま完全に忘れていた原稿が発掘されたので、完成させて投稿しておく。どのくらい前に書いていたかというと多分今年の春、Bodies from the Library 2 が出る前のことなので、まあ数か月以上前であろう。 一応総括しておくと、このアンソロジーは作品…

クリスティー原作映画 The Passing of Mr. Quinn とそのノベライズについて

本日、山口雅也プロデュースになる海外ミステリ叢書《奇想天外の本棚》の第一弾、アガサ・クリスティー原作、マイケル・モートン著『アリバイ』が発売されます(都内の早い書店では既に置かれているようです)。この作品は、クリスティーの初期の名作『アク…

パトリック・クェンティン中短編クエスト(準備体操編)

Crippen & Landru が The Cases of Lt. Timothy Trant を出すというので※1、最近クェンティンの書誌情報を調査しています。英米の雑誌の情報は The FictionMags でおおまかに調べられるし、邦訳情報はaga-search(とその元になっている森事典)やameqlistを…

CWA各ダガー賞のロングリストが発表されました

昨日、CWA(英国推理作家協会)の各種ダガーの第一次候補作が発表されました(ゴールドダガー15作、他10作)。第二次候補作(各ダガー5作)に絞り込まれるのは夏、受賞作の発表は10月ですが、現時点での注目作をいくつかご紹介します。 ■CWA Gold Dagger 201…

『図書室から死体が!(仮)』収録 クリスチアナ・ブランド「不吉なラム・パンチ」

文学フリマも近づく中、皆様いかがお過ごしであろうか。 三門は読むべきであったのに読まなかった原書と今更ながら格闘中。ようやく一冊読み終わったので、そのご報告ということでこの記事を書き始めた次第。 つい昨日まで読んでいたのが、こちら。 Bodies f…

別冊Re-ClaM Vol.1 企画裏話

8月に出る第1巻のあとがきにでも書けば良さそうな内容をここでぶっちゃけてしまおうというエントリです。 さて、三年ほど前からミステリの翻訳出したいと言い続けているが未だに達成できていない。そろそろなんかやるかな~と考えた矢先に評論の「Re-ClaM」…

2019年度エドガー賞短編部門候補作読書 総括編①

2019年1月22日、エドガー賞の候補作が発表された。今年の長編賞は未紹介の作家ばかりで反応に困るな。ウォルター・モズリーのノンシリーズ長編が受賞すると……長編は20年以上ぶりの邦訳になりますな。 むしろ今年話題になっているのは、評論賞の候補に日本人…

Re-ClaM Vol.1 サンプル③『マーティン・エドワーズ氏への10の質問』

最近本がまったく読めていなくて日記も停滞気味ですが、取り急ぎ同人誌の方の状況をお知らせします。 11月25日の第27回文学フリマ東京にお越しいただいた方、ありがとうございました。おかげさまで、新刊のRe-ClaM Vol.1 および委託販売のROM s-002 とも、オ…

Re-ClaM Vol.1 サンプル② [翻訳] Martin Edwards "Introduction"

deep-place.hatenablog.com 11/25の第27回文学フリマ東京で頒布予定の翻訳ミステリ評論誌「Re-ClaM Vol.1」について、第二回目の本文サンプル紹介を行いたいと思います。今回は、マーティン・エドワーズが『探偵小説の黄金時代』(2015)に続いて世に問うた…

Re-ClaM Vol.1 サンプル① [Review] Martin Edwards Gallows Court (2018)

11/25の第27回文学フリマ東京で頒布予定の「Re-ClaM Vol.1」について、今日から毎週金曜日にサンプルを掲出していきたいと思います。 第一回の今回は、エドワーズの作家としての実力についてまずみなさんに知ってもらいたいということで、最新作 Gallows Cou…

【未訳作品紹介】アンドリュー・ウィルソン A Talent for Murder (2017)

アガサ・クリスティーの名を知らないミステリファンは恐らくいないだろうし、仮にミステリファンでなかったとしても『そして誰もいなくなった』や『アクロイド殺し』といった作品に何らかの形で触れたことのある人は多いと思われる。(最近日本人キャストで…