深海通信 はてなブログ版

三門優祐のつれづれ社畜読書日記(悪化)

皆川博子『U』を読む

皆川博子が「オール讀物」で連載していた作品『U』が、先月発売号で完結したので読んでみました。 2016年10月号から2017年8月号までということで、全11回の連載になります。一回当たり平均して16ページ程度の分量で、一ページの文字数は1200文字くらいですか…

社畜読書日録20170624(西千葉猟書編)

久々に古本ツアーなるものをやってみたくなったのである。しかしながら、中央線沿線や神保町はありふれすぎてつまらない(実際行けば買うものもいくらも見つかるでしょうが)。滅多なことでは行かない東東京・西千葉を攻めてみることにした。土地勘(という…

社畜読書日録20170618(弘前旅情編②)

飲んで運動(徒歩)して疲れて寝て、起きたらもう朝ごはんの時間だったのでさっさと詰め込む。リンゴジュースが美味しかった(小並感)。越前先生の講演会という選択肢もあったが、前日の古本屋チェックの際に、弘前駅の東側にブックオフが二軒あるのを見お…

社畜読書日録20170617(弘前旅情編①)

エラリー・クイーン『中途の家』読書会のために弘前に行った。お前どんだけクイーン好きなんだという話だが、まあ理由は色々。 一つには主催の本木さんに返したい本(評論系同人誌)があったからだ。知る人ぞ知る硬派な未訳古典ミステリ研究誌『ROM』の「ユ…

社畜読書日録20170610-11

今日とて出社。ろくに生きていない。退勤後、サクサクと池袋へ。ミステリとお酒大好きおじさん会に参加。東口から北へ10分ほど歩いた先の「万事快調」はクラフトビールと日本酒のお店。 https://tabelog.com/tokyo/A1305/A130501/13149877/ ビールを飲むには…

社畜読書日録20170608

仕事上がりに渋谷のBunkamuraで「ソール・ライター展」を観覧。色遣いがナビ派チックであるとか、構図がドガっぽい(浮世絵っぽいと言っても可)とか、どう考えても日本人に受けないはずのない展覧会だった。モノクロも大変クール。金曜夜ということでかなり…

社畜読書日録20170607

祖母の葬式明けで忌引き扱いだが、社畜根性を発揮し午後の打ち合わせだけ出る。「一時間で終わる」はずが二時間半になるのはもはや様式美。長引いたというより当初の目算が甘すぎるのであった。帰りに紀伊國屋に寄って新刊確保。 ボストン・テラン『その犬の…

社畜読書日録20170605-0606

またしばらく失踪してしまった。特に書くことがなかったとか言わない。 昨日から今日にかけて一気に古本を買ったので一応メモしておく。 佐野洋『婦人科選手』(講談社文庫)\108佐野洋『空翔ける娼婦』(文春文庫)\108佐野洋『殺人書簡集』(徳間文庫)\10…

社畜読書日録20170601

たまの休みでアキバに出掛ける。食い道楽気味の弟が発見した(が、一人では入りにくい)というイタリアン「Casa di SIVATA」にランチで入店。裏通りからさらに一つ曲がったところ、急な外階段を登った先のお店で、キャパ12人くらい。我々が入った時には女性…

社畜読書日録20170531

ギリギリ掲出。 昨日書いたとおり、一応来月の新刊予定を振り返る。 08/ボストン・テラン『その犬の歩むところ』(文春文庫)08/スミス・ヘンダースン『われらの独立を記念し』(ハヤカワ・ミステリ)上/E・C・R・ロラック『殺しのディナーにご招待』(論創…

社畜読書日録20170530

飽きずに紀伊國屋書店に通う私。「ぼくのかんがえたさいきょうのミステリ作家(仮)フェア」を実見した。まっ、いいんじゃねぇの?別にどうでもいいんだが、こういうフェアで選書する時にいわゆる本格ミステリがほとんどで、また翻訳ミステリがさっぱり入ら…

社畜読書日録20170529

早速ネタ切れの感あり。この手の日記は、毎日書く気力もさることながら書くネタを探す努力・日常をエンタメにしていく精神なくしては続かぬことを痛感する。 来月の新刊ネタは31日に回すとして、さて今日のこと。日頃なく真面目に働いたので、かつやの期間限…

社畜読書日録20170528

何が悲しうて労働日である。しかも朝が早い。その分帰りも早いので、久々に(といっても先週の土曜日以来だから最近だ)西荻窪の盛林堂書房へ。大して買わない客で申し訳ないが、店長さんとやるかもやらないかもしれない同人誌の企画で盛り上がる。 ・俺的〇…

社畜読書日録20170527

ツイッターだと残らない日録的なものを書いてみようかと思った。今回は果たして何日続くか。 折角の休みだが、出かける気力がまるでないのは人として終わっている。どうせ明日は朝早くから出勤だし、飲みに行くのも億劫だ。そういうことでその辺にある読みか…

ジョー・ネスボ『悪魔の星』

読書会の課題書を読みつつ、カーター・ディクスン『かくして殺人へ』(再読)や、ダフネ・デュ・モーリア『人形』を読んだのですが、いまいちピンとこなかったので、レビューを書くのは後回しになっています。 さて、たまには数日前に出たばかりの本をほやほ…

ロバート・ゴダード『謀略の都』

ロバート・ゴダード『謀略の都』(2013)を読みました。 謀略の都(上) 1919年三部作 1 (講談社文庫) 作者: ロバート・ゴダード,北田絵里子 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2017/01/13 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (2件) を見る 謀略の都(下) 1919…

西澤保彦『悪魔を憐れむ』

ここもと文章を書く能力が絶滅しているのですが、せめてブログの読書感想文くらいは復調せねば、と150日ぶりくらいに更新します。 --- 西澤保彦『悪魔を憐れむ』(2016)は、タック&タカチシリーズの第10作目。シリーズ第1作の『解体諸因』が1997年の発表な…

翻訳ミステリ新刊レビュー0914

シン・本格的にシン・刊極道をシン・行しないといけないのですが、いまひとつです。なお、ゴジラは観に行ってないです。 などと言いつつ、わりかし新刊と呼べそうな本を読めたので、感想を書き留めておきます。 ○レオ・ブルース『ハイキャッスル屋敷の死』(…

実はこのミステリーも結構すごい20XX 第0回

私が「このミステリーがすごい!!」や「本格ミステリベスト10」に個人投票権を得たのは大学時代の話だが、そう考えると新刊を読んでは読む生活を、気がつけば十年ほど過ごしてしまったことになる。 別に数読めば偉いわけでもなし、ちょっと話題に上がった新…

翻訳ミステリ新刊お蔵出しレビュー 第一回

○ジョン・コラピント『無実』(ハヤカワ・ミステリ文庫) △ブラッドフォード・モロー『古書贋作師』(創元推理文庫) ◎ザーシャ・アランゴ『悪徳小説家』(創元推理文庫) 唐突ではありますが、自分のモチベーションアップのために、定期的に書評を上げていく…

皆川博子全短編を読む 番外編①「フェイク世界史小説」『碧玉紀』を読む

第四回はどうした?という疑問もあるかと思いますが、うっかり番外編をやってみました。 皆川博子には未収録の短編が数多くありますが、長編作品にも単行本化されていない作品が一つあります。それが今回ご紹介する『碧玉紀(エメラルド)』です。 この作品…

皆川博子全短編を読む 第3回

3回目にして、早くも二か月ほどスパンが空いてしまいましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか(テンプレ)。 さて前回は、『水底の祭り』『薔薇の血を流して』の二短編集を中心に、皆川博子のさらに深く、濃い「行きてのち戻れぬ世界」を紹介させていただ…

公式ブログは死なぬ、何度でも蘇るさ

直前になっての告知も何もあったものではありませんが、アントニイ・バークリー書評集製作委員会は、来る5/1(日)の第22回文学フリマ東京に新刊を手に参加いたします。 そう、『アントニイ・バークリー書評集 第4巻』です。 赤い、マジ赤い。 第4巻は、第3…

皆川博子全短編を読む 第2回

2回目にして、早くも二週間ほどスパンが空いてしまいましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。 前回は、『トマト・ゲーム』単行本に収録された作品についての解説で終了しました。今回はそれに引き続き、皆川博子の初期短編集収録作品を中心に読んでいき…

皆川博子全短編を読む 第1回

今回から唐突に皆川博子の全短編を読んでいきたいと思います。しかも短編集別ではなく、雑誌発表順に。 先日国会図書館で、現行唯一の未単行本化長編『碧玉紀』(1999~2000、文藝ポストに全6回連載)をコピーした際、その待ち時間に雑誌掲載の未収録短編を…

最後の宣伝

明日は第21回文学フリマ東京ですね。 再三宣伝している通り、アントニイ・バークリー書評集製作委員会は2階のエスカレーターからは離れている方の扉の目の前、カ-02にスペースをいただいております。 頒布物は、『アントニイ・バークリー書評集 第3巻』。「…

バークリー書評集が紹介されました

こういう宣伝っぽいことをやりたかったんですよ。 11/24発売予定のエラリー・クイーン外典コレクション『摩天楼のクローズドサークル』の飯城勇三氏の解説にて、バークリー書評集第1巻から一部引用していただきました。ご活用いただきありがとうございます。…

バークリー書評集続報

続報と言って、それほど書くことがあるわけでもないのですが。 ①書影が確定しました こんな感じです。 渋いような、そうでもないような色合いですね。 茶⇒青⇒赤なので、次回は緑ではないかというのが、私の推測です。根拠は特にありません。 文学フリマのカ…

今こそ立ち上がれ、公式ブログ

10月読書まとめが掲載されておりませんが、気にしないでください。 そこに私はいません。死んでなんかいません。 閑話休題。これまでtwitterでしか情報を発信しておりませんでしたが、今後は「深海通信」を「アントニイ・バークリー書評集製作委員会」の公式…

9月読書記録

看板に偽りしかない週刊読書記録という名の月刊読書記録を更新します。 ・買った新刊 ジョナサン・ホルト『カルニヴィア3 密謀』(ハヤカワ・ミステリ) E・C・R・ロラック『曲がり角の死体』(創元推理文庫) ヘレン・マクロイ『あなたは誰?』(ちくま文庫…

8月読書記録

もう9月か、ということで、隔週刊ですらない月刊読書記録を更新します。 ・買った新刊 アーナルデュル・インドリダソン『声』(東京創元社) カーター・ディクスン『ユダの窓』(創元推理文庫・新訳) ジャック・カーリイ『髑髏の檻』(文春文庫) ボリス・…

7月(下旬)読書記録

あっと言う間に7月が終わってしまいましたね。週刊読書記録とはなんだったのか。隔週刊に改めましょうか。 さて、7月後半の読書記録です。 ・買った新刊 サラ・グラン『探偵は壊れた街で』(創元推理文庫) クレイグ・ライス『ジョージ・サンダース殺人事件…

リサ・バランタイン『その罪のゆくえ』

単巻新刊レビュー復帰第一回はリサ・バランタイン『その罪のゆくえ』です。 2013年のエドガー賞(オリジナルペーパーバック部門)の候補作ではありますが、前情報が少ないこともあって、あまり読まれていないようなのは残念です。 その罪のゆくえ (ハヤカワ…

7月(上旬)読書記録

週単位くらいで読書記録のまとめをつけて行きたいと思います。(更新促進策) とりあえず期間は7月1日~14日です。 ・買った新刊 グスタボ・マラホビッチ『ブエノスアイレスに消えた』(ハヤカワ・ミステリ) サイモン・ベケット『出口のない農場』(ハヤカ…

2015年上半期とは何だったのか(その2)

ということで昨日に引き続いて上半期回顧です。 フランシス・ディドロ『七人目の陪審員』(論創海外ミステリ) 街の薬剤師、グレゴワール・デュバルは順調な人生を送っていた。やや口うるさいが貞淑な妻との間に、二人の子供が生まれ、また自分で開発した薬…

2015年上半期とは何だったのか(その1)

数か月ぶりに浮上いたしました。ううむ、新刊レビューを順次書いていくという目標はいったいどこへやら。 復帰第一回ということで、昨年11月からの8カ月で読んだ新刊からこれは、というのを紹介しましょう。多分この辺から年度末ランキング投票で使う弾を選…

マイクル・Z・リューイン『神さまがぼやく夜』

うっかりすると時間が空いてしまうので、思い立ったら書くのが吉ですな。今回はマイクル・Z・リューイン『神さまがぼやく夜』を取り上げます。 私立探偵アルバート・サムスンや夜勤専門の刑事リーロイ・パウダー、一家総出の探偵家族ルンギ家の冒険を描いて…

ジャック・ケッチャム&ラッキー・マッキー『わたしはサムじゃない』

書くのは楽しい新刊レビュー、第二回は鬼畜大帝ジャック・ケッチャムとその愛弟子(?)ラッキー・マッキーの『わたしはサムじゃない』をお届けします。この本には表題作とその後日談「リリーってだれ?」、そして単発短編「イカレ頭のシャーリー」の三作品…

トマス・H・クック『サンドリーヌ裁判』〜愛のままにわがままにぼくは君だけを傷つけ、ない?〜

ということで新コーナーを発足します。本コーナーは「翻訳ミステリの新刊レビュー」を雑にやって行こうと思います。エドガー賞もそのうち更新したいとは思ってますよ? 地味に。第一回は、2015年1月刊のハヤカワ・ミステリであるトマス・H・クック『サンドリ…

第二十六回:ミネット・ウォルターズ『女彫刻家』(創元推理文庫)+メアリー・W・ウォーカー『処刑前夜』(講談社文庫)

○怪物を「理解」するために咲: 『長いブランクの後、続きを一週間でお届け出来て、正直ほっとしています。』姫: 『まあまた半年寝かせたら、ほとんどジョークの域ですものね。そんな大御所連載形式では忘れられてしまうもの。』 ……ざざ、ざざざ……ちゃかぽ…

だらだら雑記20140628【マストリード100編】

kindleストア徘徊は未だに止まない今日この頃。ノワールの帝王、ジム・トンプスンのペーパーバックが八月に一斉復刊とかで、未訳の入手困難作品がついでにkindle化されないかなあ、とか祈っています。昨年末から「マストリード100」って奴が熱い。杉江松恋さ…

第二十五回:ローレンス・ブロック『倒錯の舞踏』(二見文庫)

○「誰が見張りを見張るのか?(Quis custodiet ipsos custodes?)」(承前)咲: ふと眼を覚ますと、ぼくたちは6月中旬、熱気と雨が同居する空を茫然と見上げていたんだ。姫: あれだけ気を持たせる感じで「続く」したのに……大失敗。咲: 座談の投稿はンか…

第二十四回:ジェイムズ・リー・バーク『ブラック・チェリー・ブルース』(角川文庫)+ジュリー・スミス『ニューオーリンズの葬送』(ハヤカワ・ミステリ)

○南から熱い風が吹いてくる咲: 今回で2ダースです。姫: この連載も多分3ダースくらいで終わるのではないかと思われるので、これでやっとこ2/3といったところ。山場はまだまだこれからだけどね。咲: 2014年初旬には終わらせたい。さて、未来への儚き展…

第二十三回:アーロン・エルキンズ『古い骨』(ハヤカワ・ミステリ文庫)+スチュアート・M・カミンスキー『ツンドラの殺意』(新潮文庫)

○攻略作戦は死なず咲: 何しろ5か月ぶりの更新だと言うから恐れ入る。姫: 最近三門優祐を知った人は、こういう無為なレビューを挙げていることを知らない方もいらっしゃるのではないかしら。怠慢のツケが回ったということで。咲: 半分やってはいお終いとい…

だらだら雑記20130828【kindleストア徘徊編】

ここもと、仕事の合間に amazonのkindleストアを徘徊している。 日本語の新刊書やコミックには目もくれずひたすら洋書の一覧を眺めているのだが、最近気づいたことがある。「kindleストアって、けっこうクラシックミステリを置いているんじゃないか?」 =「…

第二十二回:バーバラ・ヴァイン『死との抱擁』(角川文庫)

○遅れてやってきた作家咲: 遅れてやってきたのは誰だって感じがするね。姫: なにしろ二カ月ぶりの更新ですものね。「いや本は読んでいる、単純に出力する精神的余裕がないだけだ」という言い訳が聞こえます。咲: まあ、それはいい。いい加減頑張らないと2…

「殺しにいたるメモ」に関するメモ

執筆:TSATOI 代表作『野獣死すべし』で、前半を殺人を企てている男の手記、後半をナイジェル・ストレンジウェイズによる捜査と二つに分けた斬新な構成としていることからもわかる通り、犯人の心理描写へのこだわりは、ニコラス・ブレイクの作品では重要な要…

第二十一回:ロス・トーマス『女刑事の死』(ハヤカワ・ミステリ文庫)+L・R・ライト『容疑者』(二見文庫)

○よく売れた作品は代表作? 咲: 放置したまま時が流れてしまいました喃。姫: 原稿が入ったりしたのだけど、掲載待ちのままになっているわね。可及的速やかな対応が要求されているはずだわ。咲: 最近は感想を書くよりも本を買う方にご執心らしいのでどうし…

第二十回:リック・ボイヤー『ケープ・コッド危険水域』(ハヤカワ・ミステリ文庫)+エルモア・レナード『ラブラバ』(ハヤカワ・ミステリ文庫)

○にちようびのだいぼうけん 咲: また微妙に間が空いてしまいましたが元気です。姫: 私たちを置いて旅行に行ったりしてたしね。サイコロを振って出た目に従って進むような、ランダム要素の極めて強い旅だったようだけど。咲: さておき、今回は久々の二本立…

第十九回:ウィリアム・ベイヤー『キラーバード、急襲』(ハヤカワ・ノヴェルズ)

○空から襲い来る影の恐怖 咲: 今回も始まりましたフリーバトル。姫: 一定年齢層以外に分かりにくいネタは飛ばします。今回はウィリアム・ベイヤー『キラーバード、急襲』(1981)です。それにしても、まさか本当に殺人鳥(キラーバード)=ハヤブサが急襲…